仕事や家事などが忙しいと、疲れをしっかりケアできなかったり、眠る時間も遅くなってしまったり、次の日は仕事に集中できないという事は有りませんか。忙しい時に「リラックスした時間を作りましょう」と言われても、つい考え事をしてしまってリラックスできない、むしろ焦ってしまう。という方も少なくないでしょう。そこで、電車の中やエレベータ、コーヒーを買う合間でもできる簡単なリラックス方法を解説してゆきます。
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心と体を整える呼吸
「クンバッカ」
「クンバッカ」とはヨガの呼吸法の一つ。二酸化炭素の排出を高めて自律神経を安定させる効果が期待できます。
クンバッカのやり方
クンバッカはヨガの効果を高めるための呼吸法で基本は深呼吸と同じです。まず20秒かけてゆっくり息を吸います。20秒息を止め、20秒かけて息を吐きます。この息を止めている時間をクンバッカといいます。最初から20秒息を止めるのは難しいという方は、先ず3秒から実施してみてください。たった3秒でもしっかりと効果は得られます。
クンバッカの効果とは
深呼吸の間に息を止めるだけでどうして自律神経を整える事ができるのでしょうか。その秘密は息を止める事で、脳と心臓、それぞれにある交感神経と副交感神経を刺激して呼吸を促すことにあります。心臓付近では主に副交感神経が交感神経と協力しながら酸素量を監視しており、酸素量が低下すると呼吸をするように指示を出します。また、脳の付近では交感神経の中枢部分が二酸化炭素量を監視して、二酸化炭素の量が多くなると呼吸するように働きかけます。つまり深い呼吸の間に息を止める事で交感神経と副交感神経が活発に働き、それを繰り返すことで交感神経と副交感神経のバランスが整っていくのです。また、呼吸によって十分に酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する事により脳をはじめとする全身の細胞の働きを活発にさせる効果も期待できます。
副交感神経と交感神経、
リラックスのつながりとは
クンバッカによって交感神経と副交感神経のバランスが整うという事について解説してきました。しかしそれがどうしてリラックスに繋がるのでしょうか。交感神経とは主に興奮状態を司る神経で、副交感神経は主にリラックス状態を司る神経です。交換神経は肺や胃などとの繋がりが深く、副交感神経は脳や腸などと密接なつながりを持っています。そのため、過度なストレスや興奮状態が長時間続く状態や昼夜逆転の生活、不規則な食生活などによって交感神経と副交感神経のバランスが乱れると体に不調が現れてしまうのです。つまり、外的要因によって乱れてしまった二つの神経のバランスを整える事によって、心身に負担の少ないリラックスした状態に導けるのです。
呼吸を大きくするだけでも大違い
心を落ち着ける方法としてクンバッカをご紹介してきました。実はそのベースである深い呼吸をするだけでも、体にはとても良い影響がるのです。息を止めるのは苦しいという方は深い呼吸だけでも取り入れてみてください。
呼吸は生きる源
普段無意識にやっているからこそ、つい忘れがちですが、呼吸は体にとってとても大切な行動です。食物から効率的に栄養を摂取でいるのも体内に酸素があるからこそ。つまり全身にしっかりと酸素が回れば、体は活動に必要なエネルギーをしっかり得て正常に機能し、骨や組織も丈夫になってゆくのです。
息をするだけでも全身運動
呼吸を司っているのは肺ですが、実は肺は自力で動く事ができません。そのため、呼吸をする際には周辺の筋肉の力を借りています。その主な筋肉が横隔膜です。横隔膜は肺の真下にあり、胃などの消化器系の臓器との仕切りのように位置しています。つまり、息を吸う際に横隔膜が下に動く事と横隔膜に押されて消化器系の臓器も下に動き、息を吐くときに横隔膜が上に動くと消化器系の臓器も元の場所に戻るという訳です。他にも、肺を囲んでいる肋骨周辺の筋肉も呼吸に合わせて胸部を広げたり、縮めたりするために収縮を繰り返しています。胸部の筋肉や内臓が動く事によって、呼吸の度に体は前後に揺れています。特に前に傾いた際に、体が倒れないように後ろ側から支えるのが「抗重力筋」という筋肉です。この筋肉は背中や腹部、腰、腿の筋肉にも繋がっているため、結果的に呼吸をすることで全身の筋肉を刺激することに成ります。
疲れを感じたらまず深呼吸
交感神経は戦闘態勢になって過酷な環境を生き抜くために発達した神経です。忙しく過ごして居る十分な休養が取れず、疲労が貯まり、体は無理に頑張ろうとして交感神経を活性化して興奮状態となります。頑張る事はとても大切なことですが、興奮状態は体に大きな負担です。寝る前やお風呂の時間などリラックスタイムには、ゆっくり大きく呼吸して時には少し息を止めて、活発に働いた交感神経にも休んでもらい、心と体のバランスを整えてあげましょう。